ARPUとは?アプリの成長に欠かせないKPIの意味と活用方法とは?

何をもって成功していると判断するか?

ここだけの話ですが、筆者のノートには収益化できそうにないアプリのアイデアが山ほど書かれています。無限に玉ねぎの皮をむけるアプリや、ティッシュペーパーやトイレットペーパーを好きなだけシュッシュと出せるアプリ、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した宇宙の暗闇に実は2000個もの銀河が映っていたことを再現するアプリなど、「それってどうやって収益化するの?」と会議で嘲笑われたアプリのアイデアの山ですよ。

今回は、アプリを収益化するためによく用いられる指数のひとつ「ARPU」をご紹介します。混同されやすい「ARPPU」との違いや、計算方法、収益化に向けたユーザーへのアピール方法などを、
アプリビジネスの関係者向けに説明します。

1.ARPUとは?ARPPUとの違いとは?

まず混同されやすいARPUとARPPUの違いについて説明しておきます。

    ・ARPU(Average Revenue Per User) ユーザー1人あたりの平均売上金額
    ・ARPPU(Average Revenue Per Paid User) 課金ユーザー1人あたりの平均売上金額

例えば、ユーザー数10万人、課金ユーザー数5000人のアプリで、売り上げが500万円の場合、

ARPU 500万円÷10万人=50円
ARPPU 500万円÷5000人=1000円  となります。

かつては「イニシャルコスト収益型」といい、有料アプリを買ってもらう初期費用(イニシャルコスト)を見込んで収益を上げるビジネスモデルが大半でした。

しかし現在はソーシャルゲームなどが多様化して「ランニングコスト収益型」のアプリが増えました。無料アプリ配布で幅広くユーザーを取り込み、アイテム課金やサブクエスト課金(ランニングコスト)で収益拡大を目指すなど、収益化の手段が変化してきたのです。

その結果、単純にユーザー数を増やせても即収益につながらないケースが増え、課金ユーザー数と課金額の増加を目指すマーケティング展開のため、母数の異なるKPI(Key Performance Indicator 重要業績評価指標)が必要になってきた結果、ARPUとARPPUということばがそれぞれ使われるようになりました。

2.ビジネスモデルごとに異なるARPUの計算式

ARPUの計算式は」、開発したアプリのビジネスモデル(収益化方法)ごとに異なります。現在のアプリビジネスでは大きく分けて3種類の計算式が主に使われています。

・ユーザー課金型アプリのARPU
・表示広告主に課金するアプリのARPU
・広告のクリック課金で収益を上げるアプリのARPU

ユーザー課金型アプリのARPU

アプリのユーザーに課金するモデルのARPUは、課金ユーザー1人あたりの平均収益(ARPPU)に、課金ユーザーの割合率(PUR=Paid User Rate)をかける式になります。

    ARPU = ARPPU × PUR

表示広告主に課金するアプリのARPU

広告の表示で収益を稼ぐ無料アプリのARPU計算には、エンゲージメントという概念が導入されます。エンゲージメント(Engagement )とは、ユーザーとアプリ運営側の間にある繋がりや関わりのこと。アプリビジネスでは、アプリ起動の頻度や、SNS等の口コミ発生数、アプリの利用時間などを数値化したものです。

表示広告主に課金するアプリのARPUは、このエンゲージメントに1000回表示あたりの広告単価(CPM Cost Per Mille)を乗算します。

    ARPU = Engagement × (CPM ÷ 1,000)

広告のクリック課金で収益を上げるアプリのARPU

アプリ内に表示した広告のクリック回数を収益源とする無料アプリのARPU計算では、1回あたりの広告クリックで発生するクリック単価(CPC Cost Per Click)に、クリック率(CTR:Click Through Rate)をかけます。

    ARPU = CPC (クリック単価)× CTR(クリック率)

3.ARPUを改善させるためには?

アプリ事業者の運営能力は、ARPUの高さではなく、課金率の向上によって収益をいかに上げるかにかかっています。無料アプリが普及するだけで株価が急上昇した『ポケモンGO』の任天堂のような例は稀なケースです。無料アプリの場合、ユーザー数を増やしたあと、課金することでユーザーがアプリを使う質的・経験的な向上がないと、課金率のアップにはつながっていきません。

ARPUの改善で収益を上げるには、課金率を高めるノウハウが必須になります。ひとつの方法として、無料で利用する場合と、有償で利用する場合の違いを明確にすることで、課金率を上げる、という手段があります。

たとえばRPG型無料アプリの場合、飽きられないよう無料ユーザーの利用頻度を上げつつ、レベル上げに時間がかかったり、移動できるフィールドが狭かったり、適度な制限を受けたユーザーが、「効率よくレベル上げしたい」「もっと新しいエリアに行って冒険したい」と欲したとき、効率よくレベル上げができる強い武器や、新しいエリアに踏み出すための船といった、効率や成果が視覚化した課金アイテムがあると、購入の第一歩を踏み出しやすくなります。

4.まとめ

無料アプリを運営する場合、無料ユーザーは潜在的な課金ユーザーでもあります。無料で面白さを知ったユーザーが課金という次の第一歩を引き出すため、複数の角度からARPUを分析すると、みんなが欲しがりそうなアイテムや、追加したくなる拡張機能などが見つかることがあります。

特に近年はユーザーの利用傾向がアプリを通じてわかるようになり、利用時間やアプリを切ったタイミングなどがデータ化され、起動頻度の高いユニークユーザー向けのマーケティングが展開しやすくなりました。世界最大のアプリストア「App Store」のアプリ数は200万個を超え、アンドロイド用やPC用も含めればその総数さえわからなくなっているアプリ戦国時代。生き残りをかけた競争を生き抜くため、正確なデータを積み重ねて分析を重ねることが重要です。